大学3年のときだったと思うけれど、就職活動を初めて最初に買った本は就活生のマナー本的なもの。「自立する鞄を持ちなさい」という助言は今でも鮮明に覚えている。予算2万円で探しにいったけど、そんなかっこいい自立する鞄なんてないわけで、結果としてはPORTERだったか。
自立する鞄は、5万円以上。20代の薄給、30代(変わらず薄給だが)になってもそれなりに物欲は消えず、いつだって後回しだった。
年度の終わりにかけて、国内での仕事が増え、人に会うことが増えそうだとわかっていて、さすがに手ぶら、もしくはMacだけ持っていって仕事っていうのも、少し礼儀上よろしくないなぁと思って鞄選びへ。
条件は3つだけ。
- 自立すること
- オールレザーであること
- ブランド、メーカーの名前が人には見えないこと
靴を除く革製品についてこだわりを言えば、プロダクト自体よりも、ちゃんと日本に店舗(工房)があって、修理のときに対応してもらえるということ。その意味で、GRENSONは最後までかっこいいと思っていたけれど、諦めた。
探す過程で、HERMESを思い出した。買うとか買わないということではなく、馬具メーカーであるという点。HERMESもそうだし、Whitehouse Coxもそう。てことで、日本の馬具メーカーを探すとたった1つだけ。SOMES SADDLE http://www.somes.co.jp 。青山だったかフラグシップがあるならば、行くしかない。
店長さんとの会話でやはり馬具メーカーありだな、ってかんじたのは次の点。
- ミシンなど、馬具は厚い革や耐久性をもとられるため、設備が特殊。
- 職人がいる。 → これらは、高い品質に結びつく。
- ただし、日本はヨーロッパに比較すれば乗馬人口は極端に少ない。
- 加えて、2のように職人が必要なため、大量生産はやりにくい。→ 数が限られる。
選んだものは、グストという少し柔らかいブリーフケース。
写真引用:http://www.somes.co.jp/store2/products/detail.php?product_id=998
A4が入ることはもちろんだし、シボで汚れや傷も見えにくい。ドイツ製のボタンはちょっと扱いにコツがいるやつで、こういうディテールに愛着を感じる。
現行品から、少し革に艶があるんだけど、店舗に1つだけあった在庫は、革を変更する前のもので、少しゴツゴツ感がある。ま、いずれにせよ、条件はすべて満たすし、買う以外の選択肢はなかった。
使っていて、ケアもして、不満はない。たぶん新卒でも20代でも金持ちでもこの鞄は選べなかっただろうなと思っていて、やっぱり明確に条件を出せ、優先させることができたという点に尽きる。
もっとも、2週間に1度出番があるかないかだし、分割回数思い出すのが怖いのだけれど。しばらく鞄は買えそうにないね。
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