きっと彼もこのブログを見るだろうから、恩着せがましく選択した理由を記載しておこうと思う。8月末で同僚が一人、職場を去った。彼は新しい挑戦を。誰がどう言おうと成功すると思うし、たぶん、彼もそれを疑ってはいないと思う。それでいい。
周囲の仲良しを誘って、みんなで一品だけ贈り物をした。コットンのハンカチ。
贈り物の謎解きをするほどに無粋なことはないということは、言うまでもないこと。ただ、周囲のスーツについてあれこれ言うほどに無粋でもないとも思っているから、今さら僕が無粋なコトをしても、誰も気にしないはずだ。
選んだのはKinlock(キンロック)。
イタリアのブランドで、シルク製品が有名。BeamsやUAなんかには置いてあるから、知っている人も多いはず。ただ、大抵の場合、レディースの場所に置いてあったりして、男性が目にするのは少ないかもしれない。デザインは人によっては、ちょっと派手目かもしれないから、好き嫌いも分かれるかも。写真のは、僕が大切な人から贈ってもらったもの。参考までに。
「お別れ」という意味合いでの「ハンカチ」という選択でもある。ただ、そんな寂しい理由ではなく、3つだけどうしてもこれを贈りたいという理由があった。
まず、1つ目はサイズ。
お値段も「ハンカチって1,000円でしょ?」というマインドからは想像できない金額だけれど、サイズも普通のものより大きく、48cm四方。何も吸水性が抜群だなんて、機能を謳いたいわけではない。このサイズは、2つの自由をもたらす。1つ目の自由は、首に巻くという選択。シルクのスカーフをメンズが巻くとなると、少しイヤらしい感じにも見える。アスコットタイなんかもそう。でも、コットンのハンカチだったら、いいんじゃないの?それでも人は選ぶだろうけれど。彼はそれをしてもきっと嫌味に映らないキャラだ。プライベートのシーンでやってほしいけど。そして、もう1つの自由はチーフ(ポケットスクエア)としての使い方。ネクタイをしない場合で、ちょっと色を加えるとか。48cm四方あれば、TVフォールドでもしっかり厚みを維持したまま、きっちり挿すことができる。夕方にはパフドで挿すのもいいと思うし。割と無地のスーツやシャドーストライプのスーツが多かったから、問題なくできると前から感じていた。新しい仕事になったからって、スーツを新調しなくても、ちょっとした小物で気分は変えられるから。
次に、コットンという素材。
通常、リネンかシルクがポケットスクエアの定番。でも、コットンだって使える。だからって、1,000円ほどのライセンスブランドのハンカチを挿すなんてことは、大切な人にはしてほしくない。思わず「それ、どこの?」って聞かれるようなモノを選びたい。同僚からも集金しているだけにね。色はネイビーを基調として、チーズの絵柄が入ったもの。ネイビーベースだったら、ジャケットでもスーツでも合わせやすい。リネンでネイビーベースってないだろうから、コットンのほうが選択肢は広がる。ネイビーの縁取りもブラウンだったから、アズーロ・エ・マローネの出来上がり。あんまりチーフはしないだろうけれど、してもいいんじゃないかな?どうだろう。
最後に、チーズという絵柄であること。
贈りものをするということは、少なくとも僕に、「物語」を必要とする。「チーズ」。そう。スペンサー・ジョンソンのあの本。
受け取り方や評価は様々だと思う。だけれど、僕には「変わることを恐れないこと」という学びが2回あった。20代の最初のほうに一回。そして、今年の夏が始まるころ本棚からこの本を取り出して、もう一度。
そんなタイミングで、彼の転職話を知った。そういうひどく個人的な経緯で、チーズはアイコニックな存在となってしまった。
彼のキャリアに於いては、初めての転職。彼は「変わることへの恐れ」を克服し、新しい一歩目を踏み出したわけだ。その事実にたいしてのお祝いとして。
そして、その自分の「勇気」を彼自身が忘れないように。
おめでとう。また、近くお話が聞けますように。
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