本を書いた(2019.11)後のコロナの拡大、リモートワークの定着という社会的な流れは、ビジネスウェアのカジュアル化を推し進めたことは疑いない(ちょっと堅い出だしになったけれど、徒然に書いていく)。おやすみが続くし、S/Sが本格的に始まるしという理由もあるけれど、最近以下インプットをした影響をモロに受けて、少しビジネスシーンでの服装について書きたくなった。
・齋藤真宏さんのブログ・note
ビジネスカジュアルについて言及すると、取り留めのない文章がさらに乱れてしまうけれど、いくつかMy(ひどく個人的な) Ruleもできつつあるのでそれらについて6つ取り上げてみようと思う。おそらくそれらは、ちょっと日頃の服装を再考するのにも役立つと思うから。
―前提―
おそらく誰に訊いても答えは変わらないし、僕もいつどこで訊ねられても受け答えは変わらない。「ビジネスシーンにおいて、誰のために装っているのか?」これは、相対する相手に他ならない。この前提から考えを進めると、相手の業界やスタイルを知っていれば、フォーマルの度合いは揃えることができる。まだ知らない相手、クライアントと直接会うのであればスーツしか選択しない。ビジネスにおいて畏まった格好をして、それを「ちょっと堅すぎない?暑くない、今日?」と指摘されることはあっても、「スーツはだめでしょう」と説教され、相手の気分が悪くなるという可能性はかなり低いだろう。反対にカジュアルな格好をしていて相手がスーツにタイなんてシチュエーションのほうが、バツが悪い。消すことのできるリスクはできる限り消しておきたい。
相手がビジネスシーンでスニーカーを履くほどにカジュアルなスタイルをしているのにも関わらず、スリーピース、タイ、革靴というのもまた相手には慇懃無礼に映るかも知れない。相手との距離感の近さ、より親密さを示すのであれば、カジュアルダウンもありえる。
ただし、少し違う視点も影響するのでここで付言したい。場所や話す内容(相手との関係性)は、相手と同等かそれ以上に優先する。それなりのホテルやレストランに招かれた、会う約束を取り付けたならばスーツのほうがベター。お詫びや依頼、セールスに赴くのにカジュアルな装いは考えにくい。また、例外という意味で言えば、意図してのカジュアルダウン。例えば、農業・製造業の中小企業等のコンサルティングであれば、現場を見て回ることが容易に想像できる。現場に入るのに、スリーピースに高価な革靴、というのだと先方も気遣いを見せるだろう。対等な立場での交渉であればまだしも、相手を萎縮させてしまったのでは本末転倒。
と、色々書いたけれど結論は変わらない。あくまでスーツが優先。次にカジュアルダウン。僕の最近の日常は、概ね人に会わずに終わる。1日在宅、3日内勤、1日外に出て人に会うかどうか。ゆえに、カジュアルダウンばかり。だから、もう少し分解していこうと思う。
1. ジャケパン
やっぱり紺の無地ホップサックが使いやすい。あとは、これからの季節だとシアサッカーのジャケット。あと、2年前に調達したので言えば、ダブルの紺のポップサック(あ、これも)。出張の場合、シワになりにくいし重宝する。そして、自ずとパンツはグレーが多くなる。言い出すとキリがないから、1つだけ。
My Rule①:生地はざっくりなものを。
2. シャツ
キャンディストライプのシャツは好きでひとつだけ持っている(綿80%麻20%)。ただ、色で言えば、白かサックスブルーなのはスーツでもジャケパンでも変わらない。変わるのは1つだけ。
My Rule②:生地はオックスフォードかロイヤルオックスフォード。決して、ポプリンは選ばない。→転じて、ボタンダウンだったり、ポケットがあったりもすることもあるだろうから、この点も変わってくる。
結局、サイズは決まっている。そして、色相等においてスーツかカジュアルで大差はない。細かなデザインで遊ぶ必要もなく、結局考慮・変更できるのは生地だけになってしまうという考えが下敷き。ジャケットの質感に近づけるというだけ。だって、ジャケットだけざっくりな生地で、シャツが光沢のあるきれいなコットンだったら不自然でしょ。
3. 靴
この2年で買い足したし、頻繁に使うのはタッセルローファー(記憶だと、書籍では「紐靴じゃないとビジネスシューズじゃねぇぜ!」くらいイキっていたようにも思うのだけれど)。
まず、ジャケパンなら若干カジュアルダウンさせるのが基本でそのあたりのさじ加減を調整できるかできないかは、一重にその人の知識に依存する。それを書き始めると1章分の文章ができてしまうので省略。
カジュアルダウンをどう表現するか。1. ブローグ(飾り)を増やす・外羽根を選択 2. 素材を表革ではなく、スウェード等にする 3. 色を黒ではない別の色にする ぱっと思いつくのはこの3択。どれか1つでもカジュアルダウンの方向になるけれど、利用頻度の高さや手入れのしやすさから僕は次のようにしている。
1. ブローグを増やすのは嫌いじゃないけれど、いっそのことタッセルローファーにしちゃえ。(はっきりカジュアルダウンって分かるじゃない?)
2. 素材はスウェード。雨でも使えるし、手入れも楽。
3. 茶2足。黒1足。(あくまでスウェードの黒、ね。あまり見つけられないんだけれど)
例えば、フルブローグ、表革、茶の靴だったらジャケパンだけじゃなくて、スーツで使っていてもいいだろうし。ただ、スーツ・ジャケパンに明確な戦引きを靴でもしたかっただけ、というだけの話。かなり崩していると自覚もあるので、客先にジャケパンで行く場合は、スウェードだけれど、内羽根でというようにはしている。このあたりはカジュアルダウンが一般化されて選択肢としては広がったと感じる。
ただ、スニーカーは絶対に選ばないけれど、ね。だって、スニーカーじゃん。高価だろうが、有名紳士靴メーカーが製造していようが。スニーカーはビジネスシーンで履かない。この数年のトレンドに身銭を切れるほどに経済的に寛容ではないと換言できるだけかも。
My Rule③: スニーカーは履かない。
4. タイ
僕はタイをする。ただ、麻が入っているものだったり、ニットタイだったりで清涼感は出るように最低限の配慮はしているつもり。ついででいうと、ジャケパンでもポケットスクウェアもする。だって清潔感につながる(らしい)し? → 少し冗談だけれど。
もはやジャケットを羽織ればポケットスクウェアはあるよね、という習慣の話かな。
色や柄で言えば、単色(ソリッドタイ)が80%。残り20%はドットタイ。とても、とてもシンプルな、ね。タイやチーフは、夏において、語弊を怖れずに言えば、「あってもなくてもよい飾りー例えばカフスリンクーのようなもの」というのが一般的な認識なのかもしれない。
My Rule④: タイはする。ただ、生地は変える。
5. ホーズ・靴下
タッセルローファー(もしくはコインローファー)だと余計にだけれど、くるぶし出していると、清涼感もあってちょっと小粋で洒落ている雰囲気が出るじゃない?なんか、いい♡って男でも感じてしまう。でも、職場で表に出しているのは、顔(マスクで半分くらい隠れているけれど)と手首より先だけだから。だから、職場だと絶対に出さないよ。くるぶし。オフでタッセル履くときは、欲望に負けてくるぶし出すときもあるけれど。
My Rule⑤: くるぶしは絶対に見せない。
6. 身勝手な組み合わせ
なんてあれこれルールとか、装いは周囲のためだなんて言っているけれど、このカジュアルダウンの傾向を勝手に解釈して楽しんでいる自分がいるのも本音のところ。だから、多分分かる人が見たら分かる、チグハグな格好もときにしたくなって、実際している。一例ご紹介。
ジャケット:シアサッカーのジャケット → なんだか、チャラく見えてしまう。
シャツ:オックスフォード、白のBD → BDだけれど、ボタンは外す。タイがきれいに決まらないという理由から。
パンツ:ライトグレー、ダブル。→カジュアル寄りに見えるよね。
ここまでが、結構カジュアルダウンしまくっている状態。ただ、これだと単なるチャラ男にしかならないので、締めるところ締めているんですよ、というアピールのために、以下は
堅いアイテムを。
紺のリブ・ホーズ。黒の牛革のベルトと時計ベルト。時計は2針。黒のストレートチップ。→手先、足先だけは堅いアイテムでまとめてみました、ってパターン。
独りよがりで、たぶん評価する人が評価するとカオスな組み合わせ。内勤のときで会議もないときに限っているけれど。
My Rule⑥: カジュアル化を勝手に楽しむ(許される範囲で)。
久々に服装について書いたけれど、やっぱり楽しいよね。上記の内容がクラシカルか?と問われれば、答えに困ってしまうのだけれど、こういうポップな楽しさを楽しめているのも、限られた範囲だけれど一定程度クラッシックなスタイルを観たからなんだろうなー。
あ!あと、最近以下の書籍も読みました。より広く一般的に書かれてあって、汎用性も高く、確固たる知識とご経験から記述されています。もっと検討されたい方は一読をオススメいたします。
・『リセット!仕事服 ~新しい生活様式にふさわしい男の服選び』(松はじめ 2022)
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