ある程度ディテールについて記事を上げてきて、あまり優先順位は高くなかったけれど、組み合わせも取り上げていかないといけなくなってきた。残念ながら、生地というもっとも大切なディテールはDisplayからは伝わりにくく、推測の域を出ない。
対して、色については、Displayだとしてもある程度再現性がある。
そうした理由から、色については、やはり指摘もしやすくなる。
一度、色の組み合わせについて、まとめておきたいと思う。
まず、メンタリティについて。
スーツ姿である特定のパーツを“目立たせる”という考え方と、反対に“全体を馴染ませる”という考え方の2つの方向性があると思う。どちらが正しいという議論自体が主題ではないが、簡単に触れておく。
確かに、ライオンのたてがみ、孔雀の羽根、自然において、大抵の場合、セックスアピールとしての派手さは男にある。数世紀前、貴族の男性のファッションを見れば、それは女性のそれよりも艶やかで、派手で、目立っている。ただし、しかし、「粋」という日本語の示すように、また、ヨーロッパでも男の色として上げられるのは、「茶、グレー、紺」。つまり、色として目立つものではない。蛇足ながら、イギリス王室の公式カラーはロイヤルブルーで、オレンジや赤というような色と比較すれば、派手とは言えないと思う。
さらに、ビジネスという場において、自己主張が大切だ、というような文脈で個性の追求があるべき姿のように語られることがあるが、組織で動き、組織を代表する場において、自己は埋没させるべきだろう。
組織が個人に勝るからこそ、人は集い、資本主義経済で生き抜いているのだから。
以上のことから、“目立つ”というメンタリティをスーツに適合させようとするのは、誤りだと僕は考えている。
次に具体的な話だが、色は、色相、明度、彩度の三属性がある。明度や彩度は今後として、今回は色相だけ考えてみる。
スーツスタイルを考えたときに、パーツはジャケット、シャツ、タイ、時計や靴、ズボンとなるが、時計や靴は黒か茶しかないので、除外する。
色相を考えるというのは、つまり、ジャケットとシャツとタイの配色を考えることであって、その最たる例(もっとも人目につくのが)Vゾーンだ。だから、どの雑誌や本でもVゾーンの特集が途絶えることはない。
色相についての詳しい区分はいかようにもできるし、細分化できるので細かなところまでは突っ込まない。ただ、“目立たせない”ということ、“色を沈ませる”という考えで配色を考えれば、隣接した色を選択することが好ましいと分かるはずだ。
ジャケットやズボンは大抵の場合、紺。(ルール上は紺かグレーだが、【Suits】Season1-3 Part1/2 で指摘したように、グレーは好まない)
色で考えれば、隣接するのは緑や紫となる。シャツは無彩色の白かサックスブルーの2択だが、僕がサックスブルーを推すのはここに理由がある。つまり、
- ジャケットやズボンが紺であり、あらゆるネクタイに馴染ませるようにするために、白でコントラストをつけるよりは、グラデーションを用いたほうが、統一感が出るだろう。
- 黄色人種ゆえに、色がすでに含まれている。白で際立たせる必要性がない。
この2点から、白を選択する理由が減る。
ピンクやイエローのカラーシャツがなんとなく適さないのは感覚的にも分かるが、色相を2個以上超えているという意味からも説明がつく。
ジャケット紺、サックスブルーのシャツを選択すれば、あとはネクタイだけである。選べるのは、紫、紺(青系)、緑の3択。
ここからは感覚になってくるが、僕の使い分けは次の通り。
紫: スーツでも用いれる。ジャケパンでもOK. 汎用性の高い色。
紺(青系):フォーマル度が高いシチュエーションで用いる。つまり、全体を通じて1色(青系のみ)でグラデーションを作り、統一感を出す。それ以外の小細工は不要。スーツが多い。ただし、スーツの色と明度や彩度は変えること。
緑: 色自体もカジュアル、カントリーサイドの色。したがって、基本的にはジャケパンでのシーンで用いる。ただし、何かしら緑と関係のある(アフリカの国旗は緑が多い)とかという場合はスーツでも用いる。ただし、その場合は、スリーピースをマストとするなど、何かしらフォーマル度を高める工夫はする。
“目立たせない”“色を沈ませる”という考え方に沿えば、明度も彩度も落とす方向に考えが向かう。
以上が、色の組み合わせに対する基本的な姿勢。参考になれば幸いです。
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