【エッセイ】SF的管理社会におけるスーツ

服というものに興味を持ち始めたころからずっと欲しいなと思っていたことがあって、ふと、最新の技術があれば近いことが可能なのではないかという思いに至ったので、備忘のために書いておこうと思う。たぶん、5年以内には実現するんじゃないかと思う。

 

それは、持ち物の完全な管理。

 

僕は現在エクセルで持ち物を管理している。分類、形、サイズ感、色、素材、数、購入日と捨てる予定日、金額、そういった項目を横軸にとって一つひとつのものをすべて一覧にしている。

服だけではなく、パソコンやヘッドフォンなどの電子機器から、DVDレコーダーやアンプ、スピーカーなどの家電まで多岐に渡る。また、使う化粧品(僕の場合は、整髪料やシャンプー、化粧水や乳液、香水など)も一覧にし、使用頻度を書いている。

この目的は、大きく2つある。

1つは、予算を立てること。あらかじめ捨てることが分かっている、もしくは使い切るとか耐世年数をすぎるから、必要だと分かっているならば、だいたいの予算は立てることができる。

もう1つは組み合わせを考えること。持っているものを思い浮かべて、何とマッチするのか、何を次に買えば良いのかをかんがえることがあると思うが、それは大抵の場合、外で思いつくことが多い。例えば、かっこいい着こなしをしている人とすれ違うとか、街でみかけたポスターの配色が良かったり。それを取り入れようとしたときに、全てを買い揃える前に、手持ちのものでどうにかならないかを検討し、不足を買い足すことになる。

電化製品の場合であれば、ちょっとした部品や互換性、インターフェイスを確認するために、持ち物リストは使われるので、後者の目的になるだろうし、化粧品は予算立てのみに使われるだろう。こだわるなら、匂いの有無などから組み合わせを考えることにも影響するのかもしれないけれど、僕の場合は大抵無臭のものを選びがちだから、やはり予算立てが大きな目的だ。

 

さて、話を服に戻そう。

予算について考えるなら、文字情報で出てくればいいだけで、エクセルは非常に使いやすい。計算もできるし、捨てる予定日と価格を見れば、次のシーズンに必要な予算はすぐに出てくる。

ただ、問題なのは組み合わせを考えることだ。文字から生まれる記憶のイメージに頼らざるを得ない。僕は使用していないけれど、クリーニング屋がオフシーズンの服を預かってくれるサービスもあるらしいので、持っていることを認識していても、生地感や色の風合いまでを正確に思い出すことは不可能に近い。

では、どのような解決策が考えられるか。

まず、アバターのような自分のイメージをPC上で再現する。アバター自体が随分前からある技術であることや、ZOZOスーツからサイズも割り出せることから、多分これは現代でも不可能ではないはず。

できるならば、足のサイズなんかもむくんでいない時、むくんだ時とかで正確に立体で出せると面白いなとは思う。

次に、着せる服の情報。ICタグは近いうちマストになると思う。お店に行き、吊るされた服にICタグがあってそれをスマホで読み込むと、上述の自分のアバターに着せることができる。それを後ろからも前からも見ることができる。なお、お直しもここまではできるというような調整がインターフェイスであって、着ない状態でも、着たイメージがつかめる。確か、10年くらい前かな?バーニーズかどこかのPromotionでそんな映像があったから、これもすぐにできるんじゃないかとは思っている。通販の場合は、バーチャルフィッティングってことで、結構普及している模様。(参考:https://www.difa.me/4303/virtual-fitting-service )

 

最後に、一番ハードルが高いのだけれど、今持っている服たちのICタグ化。どのようにするのかはわからないけれど、つい15年ほど前にアナログの音(レコードやカセットテープ)をMP3(AACとか)に変えたように、タンスにあるものをすべてデジタル化できたなら。そして、それを自由に交換できるなら。

 

たぶん、メルカリなんかでのやり取りもスムーズになるだろうし、少なくともサイズ違いでのクレームは激減するはず。採寸の手間も不要だし、個人によるサイズ測定の誤差もなくなる。また、このデータをすべて外に持ち出せる、つまり、スマホなんかでアバターに着せられるとするならば、お店に行って(いかなくても、通販でもOKなんだけど)自分の手持ちの服とのマッチングをその場で考えることができる。

 

もう一個考えをすすめておくと、そのフィッティングを自由に共有することは簡単にできるだろうし、お店側に欲しい色をフィッティングとともに提案するということもできそう。

お店でICタグを読み取って、自分の他の服との組み合わせを考える。ちょっとしたサイズ変更や、色の変更をして、お店に送付。お店側はそれに合わせて作成して、納品。

高校生のときに描いて、友達と語り合った内容は、今や不可能ではないだろうなとワクワクしてしまう。

 

さて、実店舗の価値はどこにあるかといえば、大きく3つだと思っている。

  1. ブランディング : 言わずもがな、よい立地にお店がある。それだけの宣伝広告費をかけられるという意味だし、より多くの人が知っているというブランドには、(僕は価値を見いだせないけど)価値としてはある。
  2. 素材や色味の確認: 現状、触覚と嗅覚(と味覚)の再現はできていない。やはり質感というものを確認したいというニーズは残るはず。
  3. プロの目線からの組み合わせのアドバイス:センスやトレンドの嗅覚という意味で、僕たちは自信を持っていない。もしくは、自分のセンスの後押しを必要とする。その意味で、やはり販売員の方のセンスやアドバイスを受けたいというニーズはあるはず。ただし、ブランドごとの販売員は減っていき、スタイリストのようにブランドの垣根を気にせずアドバイスするというような形態が増えるかもしれない。

 

でも、こういう世界だと、ふと気が付かない間にAIが勝手にオススメのものをピックアップしたり、“一番支持されている組み合わせはこういうものです”とか“ワンクリックであと●時間でお手元に届けます”っていうのも可能になりそう。

 

究極のパーソナライズである各人の持ち物管理をした結果、究極の均質社会(みなが同じものを着ている、買っている)というパラドックスが起きるかもしれないとふと不安になっている。

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