【エッセイ】シャツの刺繍

夏はシャツの男子が一様に多く、嫌でもシャツの観察をしてしまう。そこで、気になるのは刺繍。

 

一般にオーダーをすれば、「刺繍どうします?」と聞かれる。通常、既成品にはないサービス。だから、イニシャルが施されているシャツを着ているということは、やはりそれなりにお金もかけているだろうし、多分、本人も何かしらのこだわりがあってオーダーしているはずだと思う。

その姿勢自体、僕は好きだし、反対することでもない。ただ、問題なのはその場所。

 

よく見るのは、左肩(二の腕あたり)。

ジャケットを着れば見えないものの、シャツだけで歩いていればそりゃ目につくわけで、目立ってしまう。せっかく無地の白やサックスブルーのシャツを選んでいるのに、なぜそこ?というツッコミを心の中で繰り返してしまう。

 

もっともいやらしさを感じさせるのは、袖の先。

これは、ジャケットを着ていても見えるだけにタチが悪い。どこか銀座のお寿司屋さんだったけど、右斜め前の男性の左手の袖先にイニシャルが施してあって、綺麗な女性を連れて、シースーなのに、、、ってちょっと残念な景色だった。最近、手足の長い、かっこいい男子に会ったときもそう。ぴったりのサイズ、タイを外しても綺麗に立つ襟なのに、そで口にイニシャル。

「ちょっとした出来心で」という言い訳は、たぶんこのときのためにあるのだと思う。

 

では、正しいのは?

左の脇腹。

ジャケットを着ていれば、また、ウェストコートを着れば見えない位置だから。そもそも、刺繍をする目的はクリーニングに出した際に、判別がつくようにするため。

もっとも、僕はシャツにクリーニングもしないし、最近はもっぱら既成品のシャツを少しお直ししている。だから、刺繍をする機会もないのだけれど、知っておくべきだとは思う。

 

最後に、刺繍の色。

紺がいいと思う。シンプルに。

 

いつだって、目立つべきではない。

靴下のブランドの小さなロゴが、その人のスタイルをすべて壊すように、シャツのたった数ミリのイニシャルもその人のスタイルをぶち壊しにしてしまう。

 

 

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