フィリピンは年中暑く、スーツを着ていると割と目立つ。彼らは、日常ではパイナップルの繊維を原料とするバロンタガログというシャツを着る。これは、両サイドにスリットが入っており、裾を出して着る。そして、ジャケットなしのスラックス。ビジネスのシチュエーションでも当然ながらこの服装が認められる。見るからに涼しげだし、薄い色が大半だから、僕は好きだけれど。次、フィリピン行ったらオーダーしよう。
そして、自分のペンを、シャツの胸元のボタン部に挿す。ちょうど前大統領のアキノさんの写真があったから紹介しておく。(左は現大統領のドゥテルテさんだ。)
(引用元:https://adobochronicles.com/2016/06/28/the-adobo-chronicles-presidential-barong-tagalog-survey/)
正直なところ、多くの式典の写真をネットで見てみるとペンを挿していることのほうが少ないから、スーツの場合と同じくペンを人の目に配置することは、あまりフォーマルなことではないのかもしれない。
ただ、バロンタガログを着れば、ジャケットは着ない。でも、それなりの企業に訪問する時なんかは、受付で所属を記入するように求められるとか、ちょっとした書類にサインするというようにペンの出番は多い。頻繁に使うペンを収納するジャケットが使えないから、ボタン(前立)部分にペンを挿しておくというのは、合理的な理由もあるように感じている。
また、バロンタガログはネクタイと併用しない。先に言ったようにジャケットを着ないから、チーフで色をつけるということもできない。たいていの場合、バロンタガログはあっても刺繍。刺繍に色はない。この色という観点からも、小さいことだけれど、ペンのシルバー(もしくはゴールド)が胸元にあるのは、ちょっとしたアクセントになるのではないかななんても思ったりする。
さて、通常、僕たちが夏に着るシャツにはポケットがない(ことがフォーマル)。もちろん、ボタンダウンでオックスフォードの生地で、というようにカジュアルダウンさせているシャツならば、ポケットも必然的に付随する。でも、僕のクローゼットにはそういうシャツは1枚くらいしかない。オフィスでも出来る限りジャケットは手放したくないけれど、シャツだけで動かざるを得ないときもある。例えば、上司からジャケットが不要だと言われるときとか、外出から戻ったばかりで汗が引かないときとか。そういう時、僕はペンをバロンタガログを着るときのように挿す。
いささか仰々しい表現をするならば、これは、フィリピンに対するオマージュ。フィリピン時代にお世話になったTacandongへのリスペクト。
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