【雑記】あるパン屋さんのお話

「久しぶり。元気かぁ。お店を移転する予定で、新しいお店のドアのガラスに書く、

なんかええ文章ないかなと思って。」とラインをくれたのは、地元山口、宇部市でパン屋を経営する先輩。

 

中学2年の3学期に山口県の下関に引っ越すまでは、宇部市のお隣、小野田市(現山陽小野田市)に住んでいた。身長が高くて、男前で、野球できて、そんな2つ上の先輩。当時は雲の上の存在。再会があることも、仲良くしてもらえることも、まして、こうして20年以上経っても関係が続いていることも、想像できなかった。

 

引っ越して間もない、友達のいない寒い冬に、原チャリで片道40km以上の道のりを走り会いにきてくれました(一個上のイケメン渡辺さんと)。残念ながらあなたの年下の彼女ではありませんでした。

歳上の女性に惹かれる年代だった僕に、早熟なあなたはあれこれ手ほどきをしてくれました。残念ながらそれらのテクニックを使う機会に恵まれませんでした。

大学まで行くことこそが幸せには必要不可欠だというひどく偏った考えの僕に、一度たりとも「そうではない」と言わず、自身の生き様で「幸せのあり方」を示してくれています。残念ながら、30をとうに過ぎあなたの偉大さに気が付きました。

 

想えば、たくさんの思い出があるのですが、今でも印象的なことは「何かあったら俺に言ってこいよ」なんてパッキン、ピアスだらけ、でもマジな顔で言ってくれたこと。初めて「漢」を意識した瞬間でもありました。もし、あれこれと文字に留めることを楽しいと感じるインドアな僕に男らしさのかけらが存在しているのであれば、それはあなたの影響が大きいでしょう。

 

2016年。ふと、独立するにあたってパン屋の屋号を決めたいからと僕に相談してくれたことは、つい昨日のようです。あれからもう4年近く経つのですね。今回、移転に伴って改めて影響の大きな仕事をもらえることは、なんだか畏れ多いのですが、精一杯してみようと思っています。ご存知ないと思うのでお伝えしておきますが、今仕事をしていません。そんなタイミングにこうした仕事があるのは、どんな励ましや慰めよりも、深く沁みます。

 

もし、僕の状況を知っていて投げた仕事ならば、それはあまりにニクい演出ですが、また一つ印象深い想い出が増えたことになります。

 

ということで、山口(宇部市)に行かれる際はBaker’s Baseへお立ち寄りください。

気取らない、無骨なオーナーが創る、繊細なパンに出会えるから。

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